AIによる法令チェック導入で求人広告の掲載率を劇的に改善

AIによる法令チェック導入で求人広告の掲載率を劇的に改善

求人入稿画面に法令チェックを組み込み、求人の質を根本から担保する

求人サイトを運営する立場にいると、求人の「量」よりも「質」が問われる場面が年々増えていることを、日々の運用の中で強く実感します。特に、ポータルサイトや求人サイト、マッチングサイトのようにSEOと密接に関わるWEBシステムでは、原稿の品質がそのまま流入数や成果に直結します。

以前であれば多少荒い表現が含まれていても掲載されていた求人が、現在では検索エンジンや求人検索サービス側の判断によって、静かに、しかし確実に除外されていくケースが増えています。この変化に正面から向き合わなければ、どれだけシステムやUIを磨いても、成果は頭打ちになります。

求人の質は「人の感覚」だけでは守りきれなくなっている

求人原稿の品質管理というと、最終的に人が目で見て確認するという運用を想像される方も多いと思います。実際、最終確認は今でも非常に重要です。ただし、求人原稿の本数が増え、入稿者が増え、拠点が全国に広がるほど、そのやり方には限界が出てきます。

弊社が保守・コンサルティングを行っているクライアントの中には、全国に多数の支店を持ち、それぞれの支店で求人入稿を行っているケースがあります。この場合、同じ企業の求人であっても、原稿のトーンや表現、情報の粒度が支店ごとに微妙に異なってしまいます。

悪気があるわけではありません。ただ、担当者ごとの経験値や法令理解の差、これまでの成功体験の違いが、原稿に自然と反映されてしまうのです。その結果、掲載される求人と、なぜか落とされてしまう求人が混在する状態が生まれていました。

Googleをはじめ、求人検索エンジンはAIで原稿をチェックしている

現在、Google for Jobsをはじめとする求人検索エンジンでは、AIを用いた原稿チェックが当たり前になっています。Google自身がAIを提供している企業である以上、求人原稿の内容をAIで精査しているのは当然の流れです。

事実、Google for Jobsだけでなく、Indeed、スタンバイなどの求人検索サービスでも、一定の基準を満たさない求人は検索結果に表示されなくなります。しかも厄介なのは、その理由が明確に開示されないケースが多いことです。

「昨日まで出ていた求人が、今日は表示されていない」 「修正した覚えはないのに、なぜか非掲載になっている」 こうした相談を受けることは、ここ数年で明らかに増えました。

Indeedエントリー対応でも発生していた非掲載問題

先ほど触れた全国展開しているクライアントでは、Indeedエントリーに対応した広告出稿を行っていました。しかし、実際には全求人が安定して掲載されている状態ではありませんでした。

常に全体の1割程度の求人が、Google for Jobsやスタンバイ、Indeed上で非掲載になっており、しかもその理由が明示されないため、現場では対処のしようがない状態が続いていました。

この状況は、担当者の努力不足でも、広告費の問題でもありません。原稿の中に、意図せず法令リスクを含む表現や、ガイドラインに抵触する可能性のある文言が混ざっていたことが、最大の要因でした。

求人入稿画面にAIによる法令チェックを組み込むという発想

そこで弊社が提案したのが、求人入稿画面そのものにAIによる法令チェックを組み込むという仕組みです。入稿が完了してからチェックするのではなく、原稿を書いているその場で、リスクに気づける構造を作ることが重要だと考えました。

この仕組みの目的は、原稿を自動的に「合否判定」することではありません。あくまでもチェックであり、最終判断は人が行います。ただし、最初の段階で危険な表現を減らすことで、全体の質を平均化することができます。

実際の法令チェック画面イメージ

チェックを開始するボタンをクリックするだけでAIによるチェック開始

求人原稿を入力すると、AIが即座に文章を解析し、法令面・表現面で注意が必要な箇所を抽出します。ここで重要なのは、単に「NG」と突き返すのではなく、なぜ注意が必要なのかが分かる点です。

実際に表示される注意書きの例

実際に表示されている注意書き・アラート具体的に修正したほうが良い点を項目下に出力

このように、修正の方向性が分かる形で表示されるため、入稿者自身が自然と学習していきます。結果として、原稿の質そのものが底上げされていきます。

AIチェック導入後に起きた明確な変化

AIによる法令チェックを導入した結果、最も分かりやすく変化したのが非掲載率でした。導入前は常に2~3割が非掲載だった状態が、導入後は1%以下にまで改善しました。

これは一時的な数値ではなく、運用を続ける中で安定して出ている結果です。原稿を作る段階でリスクを減らせているため、検索エンジン側の評価も安定します。

さらに、法令チェック用のプロンプトをブラッシュアップしていくことで、非掲載率を限りなく0%に近づける余地も見えています。これは、人手だけではまず実現できない領域です。

最終確認は人が行う。それでもAIが必要な理由

もちろんAIがすべてを解決するわけではなく最終的な確認は、必ず人の目で行う必要があります。ただし、その前段階で原稿の質が揃っているかどうかは、運用効率に大きく影響します。

AIチェックを入れることで、「明らかに危ない原稿」が上がってくる確率が激減します。その結果、目視チェックは確認作業に近いものになり、精神的な負担も大きく下がります。

求人の質を担保することは、企業価値を守ることでもある

求人原稿は、求職者にとっての最初の接点であり、企業の顔です。質の低い原稿が検索結果から消える時代において、法令チェックを仕組みとして組み込むことは、単なる効率化ではありません。

それは、企業の信頼性を守り、安定した集客を実現し、長期的に事業を成長させるための基盤づくりです。求人入稿画面にAIによる法令チェックを入れることは、その第一歩になります。

求人の質を人の感覚だけに頼らず、AIの力を借りて平均化する。この考え方が、これからの求人サイト運営では欠かせないものになっていくと、現場の実体験から強く感じています。

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